
西村 善文
(横浜市立大学)
日本分光学会は1951年の分光化学研究会および分光学研究会の発足を経て1953年の正式発足以来半世紀以上の歴史を有する学会であり,現在は天文学,物理学,光学,化学,生物化学,生物学など広範な学問領域を横断する研究者が集う学際的な性格を持つ組織です。そのため多くの会員は各々の専門の分野の学会に参加し、分光学会をメインな活動拠点している会員は少ないかと思います。その中にあって会誌のレベルの高さと講習会などの普及活動が過去の資産であったと思いますが、最近は年会の充実化が図られており、ようやく一般の学会と同様な運営ができつつあります。しかし現在分光学会に限らず一般に学会活動はインターネットの普及などにより急激に変化を迫られている面もあります。ホームページの充実、メールサービスの活用、バーナー広告の問題、雑誌のオープンアクセスの問題など様々な取り組みが必要になってきたのも事実ですので今後会としてこれらの問題について積極的に検討していきたいと思います。
そもそも学会活動はある分野の研究を行う有志による情報提供と研究推進のための議論や普及が主な活動であるべきだと思いますが、研究のますますのグローバル化によって、地道な活動が厳しくなっているのも事実です。また一部の分野に見られるように研究活動をインパクトファクターのみで評価するようなことが行われるようになってきたのは、研究者自身による責任ある評価体制の崩壊と見ることもできます。本来学会活動等を通して研究者間での議論や査読等を経て評価すべきことが、一部の一流と言われる雑誌の掲載のみが重要視されている事実を見逃すわけにはいかないと思います。
そのような中で分光学会は「分光」という原理原則を大事にして、その基盤を研究するとともに様々な分野に応用している学際的な研究者の集まりだと思います。基本的にはマスコミ受けする派手な分野でありませんが、逆に地道に研究の基礎を固めてきた分野であると思います。研究成果や研究評価のグローバリゼーションの中に遭って、学会の経緯を大事にし、しかし基盤が重要だからこそ分光に関する学際的な研究を発展維持することが私たちに課せられた使命だとも思います。そのための会員の皆様のご支援とご協力をお願いします。
なお、最後に昨年の事業仕分けに関して一事付け加えたいと思います。多くの学会から仕分けの予算反映に関する要望書が出されました。分光学会でも理事会の議を経て会長名で要望書を提出しました。詳しくは行政刷新会議・事業仕分け判定の予算反映に関する要望書をご覧ください。
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