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〔最終更新日:2010/06/08〕
   第10回分子分光研究会報告
 5月14日(金)と15日(土)の2日間にわたり、今年で10回目を迎える分子分光研究会が、東京工業大学で開かれた。この研究会は日本分光学会高分解能分光部会が主催し、日本化学会が共催している。分子やその集合体などの分子構造・電子構造およびダイナミクスについて実験から理論までを幅広く対象とし、毎年この時期に開催されている。高分解能分光部会では、分子の高分解能スペクトルの観測から得られる高精度で詳細なデータを量子力学に基づいて解釈し、分子構造やダイナミクスの情報を引き出すことによって、分子の本質的理解を目指している。そして、国内の基盤的分光研究を維持発展させるために、実験および理論の研究グループが最新の研究成果を持ち寄り、深く議論する場として本研究会を実施している。本研究会は、研究発表やレベルの高い質疑応答を通して、大学院学生やポスドク等の次の世代を担う分光研究者を育成する場としても位置付けられている。そこで、発表形式は、ポスターを行なわず、すべてを口頭発表とし、討論を含めて20分としている。そして、実際に実験や理論計算を行った人が登壇者となることが奨励され、学生や若手研究者が活発な討論の場の主役になる舞台を提供することも目的としている。
 開催地は持ち回りで、今年は首都圏での開催年に当たっていた。この便利さもあり、全国そして世界各地から本研究会発足当時からの継続的な参加者だけでなく、周辺分野からの新しい参加者が多く集った。その数は一般57人、学生36人、招待講演2人の合計95人となった。一般講演は36件行われ、それに加えて、以下の2つの招待講演が行われた。
「50pm分解能電子顕微鏡による原子クラスタ−構造の直接観察」
  (東工大院理工)高柳邦夫
「Cooling of Molecules, from Oxygen to Naphthalene」
  (Harvard Univ.)J. Doyle
 懇親会は、同キャンパス内の100周年記念館で行なわれた。本研究会は今年で10年目を迎えるため、その存在意義を再確認する話題が多く語られた。また、様々な分野にわたる国際的な議論は、発表会場だけでなく懇親会まで展開された。
 開催当時からずっと2日間の日程で行なわれてきた本研究会であるが、近年の活性化を受けて、計画段階では今回は3日間の日程での開催も視野に入れられていた。一般講演が36件を超えた場合、3日間で行われる予定であった。結果的に36件であったことから、今回も2日間の日程に収められた。そのため、日程は密なものとなり、ここ数年の例外にもれず初日は午前から開始され、2日目は18時ごろまで行われた。それにもかかわらず、最初から最後まできっちり参加する人がほとんどで、活発な議論は2日間ずっと展開された。
 開催期間中、天候にも恵まれ、無事に2日間の日程が終了した。来年は地方での開催の年に当たり、広島市立大学での開催が予告された。
(東京理科大学理学部第一部化学科 荒木光典)

集合写真(東京工業大学金森研究室提供)

 
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